現代サウナ施設のトレンドデザイン:癒しと革新の融合/最新店舗紹介も
近年、サウナ文化が大きな進化を遂げています。かつては健康促進の場としての役割が中心だったサウナが、現代では個々人のライフスタイルや価値観を反映する空間へと変貌を遂げています。リラクゼーションや健康管理にとどまらず、自己表現やコミュニティ形成、さらには自己実現の場として、変貌を遂げているサウナを本コラムでは、サウナ施設のトレンドデザインを通じて、こうした進化の背景と最新の動向を探ります。

「JUURI SAUNA」(ユーリサウナ)、すべてをDIYした陸オーナーと
Contents
1. 自然との調和:人間と地球のつながりを感じる空間
サウナはもともと自然との親和性が高い空間ですが、現代のデザインでは「自然との共存」をより強調しています。この傾向は、利用者の価値観が環境意識やサステナビリティに向かっていることを反映しています。
具体例
- アウトドア型サウナ
森や湖畔・海といった自然環境に直接アクセスできるサウナは、利用者に「自然の一部」であるという感覚を提供します。都市の喧騒を離れ、自然の中で静かに過ごすことが、ライフスタイルの一部として位置づけられています。


オーナー自らがDIYした宮城県“JUURI SAUNA”(ユーリサウナ)は、地元の杉間伐材をログサウナに使用して環境にやさしくサステナブルな森林管理に貢献。フィンランドと見間違えるほどのクオリティで本格サウナを作り上げた良例です。日本初導入されたフィンランド製”蓄熱式薪ストーブ“は、圧巻のポテンシャルと省エネを実現しています。

アウトドアサウナのニュースタイルとして、フィンランドでは定番の湖に浮かぶサウナ「フローティングサウナ」も日本上陸してきました。日本では法規制によるハードルが実現の妨げになっていましたが、少しずつ事例が出てきています。フィンランド ユバスキュラの“SAUNALAUTTA EDEN”は、フローティングサウナの最もポピュラーなサウナフェリーであり、ベンチマークの対象でしょう。

沖へ移動して仲間とサウナを楽しむアクティビティ
- エコデザイン
再生可能エネルギーを活用したヒーターや、地元産の木材や石材を使用した建築建材など、エコロジー志向のデザインが増加。環境配慮が、利用者の価値観と直結しています。静岡県裾野市の“サーマルクライムスタジオ富士”のECOサウナは、太陽光と雨水を利用するサウナとして注目を集めています。

2. 個々の価値観を反映したカスタマイズ性
現代のサウナは、「個の価値観」を尊重するデザインが重視されています。単に同じ空間を共有するのではなく、利用者一人ひとりが自分らしい時間を過ごせる工夫がなされています。
トレンドのポイント
- ソロから貸切型サウナ
他者と分け隔てられたプライベート空間は、一人でサウナを楽しむ事から仲間と複数で楽しむ傾向に移行してきました。また、ビジネスコミュニケーションとしての利用価値も浸透してきています。 - 温度や湿度の調整機能
スマートサウナを通じて、個人の好みに合わせた設定が可能になり、「自分専用」の体験を提供します。ただ熱いサウナではなく、健康やリラクゼーションのニーズが異なる利用者に対応する柔軟性がポイントです。
3. ジェンダーフリーで多様性を尊重するデザイン
多様性への意識が高まる中で、ジェンダーニュートラルな空間設計が注目されています。サウナが健康促進やリラクゼーションだけでなく、社会的な価値観を反映する場になっていることを象徴するトレンドです。
実践例

ポンチョのままサウナを楽しめる茨城県常総市「お湯むすび」
- 混浴型サウナとユニセックススペース
カップルや家族連れが一緒に楽しめる混浴型のサウナは、性別の壁を越えたコミュニケーションの場として人気を集めています。男女が水着になって楽しむ施設が重宝がられ、グループでも明るく利用できる雰囲気を心がけています。心許せる人たちと自分のペースでリラックスできる空間が、共有体験を重視する人々に支持されています。ただし、保健所が所轄する「その他公衆浴場」の法において、男女が水着になってサウナを一緒に利用することはNGとする地域もありますので、事前の調査をお勧めします。違反すれば「営業許可証」は発行されません。
4. ライフスタイルの一部としてのサウナ体験
サウナはもはや単なるリラクゼーションや健康促進の場ではなく、「生き方」や「価値観」を表現する空間になっています。この変化は、サウナが「自分らしさを追求する場」として認識されるようになったことを示しています。
ライフスタイルとの融合
- ワークサウナ(仕事×サウナ)
サウナ後の集中力向上を活かし、仕事の合間に利用する人が増えています。一部の施設ではWi-Fiやデスクが完備され、リモートワークとサウナを組み合わせる新しいスタイルを提案しています。 - 趣味や交流の場としてのサウナ
サウナ愛好家が集まり、共通の趣味や価値観を共有する場としても機能。サウナが趣味の一環として、コミュニティ形成の拠点になっています。
5. エンターテインメントとサウナの融合
サウナは癒しだけでなく、楽しさや感動を提供する場にもなっています。エンターテインメント性を高めたデザインが、新たな層の利用者を呼び込んでいます。
トレンドの取り組み

- テーマ型サウナ
映画や音楽、アートをテーマにしたサウナ空間が人気を集めています。利用者が自身の興味や価値観に合ったテーマを選べる点が、新たな体験価値を生み出しています。東京 下北沢“HUBHUB下北沢”(ハブハブ)は、シアターとサウナを融合した成功事例です。 - ロウリュパフォーマンス
視覚と聴覚に訴えるアウフグースショーは、エンターテインメント要素として欠かせない存在。特に音楽や映像との連動が進んでおり、利用者を非日常の世界へ誘います。ドイツが発祥のアウフグースは、単に熱波を送るだけでなく、サウナ室をライブ会場のように一体感と高揚を演出するイベントであり、利用者への認知が少しずつ増加しています。演者であるアウフギーサーの演じやすい空間設計が肝要です。
6. 地域性と個性を融合したサウナデザイン
地域特有の文化や風土を活かしたサウナ施設は、観光資源としても注目されています。サウナを通じて地域の魅力を体験できる点が、利用者の心を掴んでいます。
具体例

- 地方素材の活用
地元産の木材や石材を用いた施設は、その土地ならではの個性を感じられる場となっています。茨城県笠間市の“KASAMABI”(カサマビ)は、地元伝統的工芸品に指定された笠間焼をサウナ室の壁材に採用。独特の温もりのある雰囲気と保湿の継続効果を期待しています。 - 地域イベントとの連動
地元の祭りや文化行事に合わせた期間限定のサウナプログラムを提供する施設も登場。地域と訪問者のつながりを深める工夫が光ります。

結論:サウナは新しいライフスタイルの象徴へ
現代のサウナ施設は、単なる健康促進の場を超え、個々人のライフスタイルや価値観を映し出す空間へと進化しています。自然との調和、個人に寄り添うカスタマイズ性、多様性を尊重する設計、そしてエンターテインメント性の強化といった要素が、利用者に「自分らしいサウナ体験」を提供しています。
これからもサウナは、社会や価値観の変化に応じて進化し続けることでしょう。サウナ施設が提供するのは、ただのリラクゼーションではなく、「その人らしさ」を引き出す特別な時間と空間なのです。

コラム著者:石橋 光孝(矢島建設工業 商環境事業部)
一級建築施工管理技士、 サウナ・スパプロフェッショナルやDIYアドバイザーの資格を持つ。 商空間作りが専門で設計施工に携わった物件は3000件を超える。 多くのサウナ温浴施設の施工や設計のお手伝いに関わり、サウナ事業を学ぶため全国のサウナやフィンランド・ドイツ・エストニアにも渡って知見を広めている。 @sauna_ji / 第2期サウナ開業塾生 / 第1回Tehdään Sauna! Finland 修了
監修者情報

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矢島建設工業株式会社 商環境事業部 事業部長
一級建築施工管理技士/監理技術者/サウナ・スパプロフェッショナル/DIYアドバイザー -
北海道生まれ。乃村工藝社、日商インターライフ、秀建などを経て2024年矢島建設工業に入社。
1985年から様々な商業施設の設計施工業務に携わり、3000件を超えるリアル店舗の設計・監修や施工・マネジメントを手掛ける。
近年はサウナ・温浴施設のプロジェクトに関わり、サウナ事業を学ぶため全国のサウナやフィンランド・ドイツ・エストニアにも渡って知見を広めている。
新事業のアドバイスを、ものづくりの目線から忌憚のない意見をする事がモットー。
第2期サウナ開業塾生
第1回Tehdään Sauna! Finland 修了
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